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ドイツの子ども達におそわった10のこと ~日本とドイツの学校の違い~

ドイツの子ども達におそわった10のこと ~日本とドイツの学校の違い~

 

昨年ドイツの学校で9-12歳くらいの子ども達にボランティアで日本文化を教える授業をしていました。そのボランティアを通じて、日本とドイツの学校でいろいろ違う点が発見できたのでブログで紹介しようと思います。ドイツの学校一つ一つにも特徴があると思うので、参考までに一つの例として読んでみてください:)

 

1. 両親の国籍はみんなバラバラ

移民の国と言えばアメリカが有名ですが、ドイツも多国籍な国です。近年ではシリアやイラン、イラク、アフガニスタンから多くの難民が訪れ、アフリカ各国からの移民も多いです。また、ポーランドやウクライナ等の東欧やバルカン諸国から来た人達もいます。

子ども達の見ためはもちろんみんな違うので、外見がほんの少し違うことでのいじめはないと聞きます。肌の色が黒い子もいれば白い子もいますし、髪の毛も直毛もクセっ毛の子もどちらもいるのが当たり前です。

僕が通っていた東京の学校では、クラスのほとんどが日本人でたまに韓国や中国の留学生がいるくらいでした。ドイツの学校では幼い頃から自然と多様性の中で生活する環境にあると思います。

 


2. 様々な宗教の子ども達がいる

ドイツは元々キリスト教の国ですし、両親が中東から来た子はイスラム教を、アフリカ諸国から来た子どもは固有の宗教を信仰していることも珍しくありません。ドイツの学校では宗教のことも日本よりも詳しく扱います。僕が授業を行っていたときには、別のクラスの子ども達はプレゼンで自分たちの宗教を紹介していました。子ども達の宗教ごとにわかれた授業があるところもあるそうです。

 

3. 髪型や服装の規則がない

髪型や髪の色もみんな違うので規則はありません。服装にも特に規則は設けていないそうです。ちなみにランドセルはないのでこういうキャラクターもののリュックの中から子ども達が好きなものを選ぶそうです。カラフルでかわいいですね~ ^_^

(www.rnz.de)

4. 生徒が意見をいう機会が多い

過去のブログでも書きましたが、ドイツの子ども達は授業中に意見を言う機会が多いです。それも日本のクラスでよくあるような何か正解があってそれを答えさせるのではなく、『正しい答えがないものに自分がどう思うか』というような問いかけが多いように思います。それに対して先生は『何が正解で、何が間違っている』とは言わずに最後まで子どもの意見を聞き、不明なところは質問や補足をします。

過去ブログ: “ドイツの教室 × 日本の教室 – 語学の授業編 -“

 

5. 授業中に寝ない

日本の学校について話すときにドイツ人に最も驚かれることの一つが授業中によく生徒が寝ることです。ドイツでは授業中に寝ることは許されていません。あまりにも先生に無礼だからだそうです。『日本では小学校だけでなく、クラスによっては大学でも多くの学生が授業中に寝ている。』というと驚かれます。それでいて日本の学生は大金を出して塾にも通うと言うとドイツ人には全く理解できないようです。ちなみにドイツに塾文化はありません。

 

6. 扱う教科書は州や学校によって違う

日本では全国どこでも教科書は似たり寄ったり、同じものを使っていますよね。世界史なら山川とか。僕は個人的に日本の教科書は『受験に良い教科書』に偏っていると思います。歴史の中身を詳しく分析するよりは、年号の最後の一桁まで覚えさせられ、現代史は受験で出題されないのでやりません。ドイツでは各出版社が出す教科書の種類が日本よりも豊富で、州や学校によって扱う教科書も違うため、国全体がひとつの会社(教科書)の考え方に偏りがちになるということが防がれているそうです。

 

7. ベジタリアンの子がいるのも普通

クラスの中には宗教や考え方でお肉や魚、たまごや乳製品を摂取しない子ども達もいます。

 

8. ひとつのクラスに年齢が違う子どももいるのが普通

僕の教えていたクラスでは9-12歳までの子ども達が一緒に授業を受けていました。日本では留年をしてクラスで1つ年齢が違うだけでもかなり劣等感を持たされてしまうので、僕にとっては新鮮でした。僕も高校生のときは全く学校の勉強をする気になれず、いつも『留年するぞ』とおどされていました。当時は一年遅れるくらいなら辞めたいくらいに思っていました。今考えると留年しようが浪人しようが、周りとの年の差なんて関係ないんですけどね。ドイツの学校で子ども達が意見を言い合うときにはみんな年齢の違いは気にしません。

 

9. 子どもたちは自然の中で落ち葉まみれになって遊ぶ

学校の近くにはTiergehegeという鹿が放し飼いで飼育されている公園があります。子ども達はそこで毎日駆け回って、落ち葉まみれになって遊んでいます。辺り一面落ち葉で埋め尽くされているので、子ども達は走り回ってよく根っこに足を引っかけてすっ転んでいますが、大人は『走り回らないの!』『服を汚さないの!』などとは言いません。子どもは風の子。元気一杯に走り回って、痛みも経験して覚えていくものですよね。

 

10. ナチス誕生からヒトラーの独裁政権、第二次世界大戦の終わりまでで最低2年間は時間を取って教えられる

近代史の扱い方も日本とドイツで大きく違いがあると感じました。僕は高校のときに近代史は全部で10回くらいで、日清・日露戦争の日本の勝利の英雄談や第二次世界大戦の原爆の悲惨さに重点をおいて教えられた覚えがあります。ドイツで集中的に教えられるのは『どういった状況で自分たちがナチス政権とヒトラーを生み出してしまったか。』ということです。未来への予防のメッセージが強く込められています。なので、ナチスが1933年に政権を獲得するまでの世の中の情勢や他の党が持っていた課題を詳しく分析していきます。ナチス誕生から第二次世界大戦の終わりまでで最低2年間は教えられるといいます。そういえば日本の世界史の授業では当時の日本政府や天皇と一般市民の関係はあまり触れられないですよね。

 

(ドイツ留学を全力で勧める理由28) 歴史をもう一度学びたくなる。例えばドイツでは世界大戦の伝え方が日本とは違う。日本は"戦争の悲惨さ"を伝えようとするけど、ドイツでは"なぜ自分たちがヒトラー政権を生んでしまったか"、その風潮を防止するための将来へのメッセージがある。視点が違う。

— Aki @Kiel, Germany (@akihiroyasui_) 2016年5月20日


 


 

以前にも書きましたが、今回の授業ボランティアも、

 

『人のために何かしようと思って始めたことが、気がついたら僕が貴重なことを色々教わっていた。』

 

という感覚でした。

 

僕は授業中にはいつも『子ども達は未来の宝だ。』と思って接していました。過度に期待をかけていたわけではないですよ。子どもたち一人一人とそれだけ大切に向き合おうと思っていたということです。

 

それは特にほとんどの子ども達にとって、僕が人生で初めて会う日本人だったからです。

 

サッカーが好きでイタリアに興味をもったり、中世の壮大なお城のイメージからドイツに行ってみたいと思ったり、僕らがある国の文化に興味を持つことはたいてい些細なことがきっかけですよね。僕もそうでした。

 

そう考えてみると、何かの機会があって受け持つことになった僕のこの日本文化の授業も、将来子どもたちが日本に興味を持つきっかけになるかもしれない。そう思って講義にはしっかり準備をして臨んでいました。

 

最後に、子ども達と先生が僕にサプライズで作ってくれたビデオです。まさか人生始めての寿司をドイツで握ることになるとは思っていませんでした^_^ 子ども達にも自分たちで何か作ってもらいたかったので、手巻き寿司スタイルにしました。ベジタリアンの子どももいたので野菜巻きも作れるように材料を揃えました。

 

たくさんのエネルギーをくれた子どもたちと先生に感謝感謝です:)

http://leg-kiel.de/?p=95502

 

Akihiro Yasui

 

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