Akihiro Yasui
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<学生起業家インタビュー>3Dプリンターで義肢の製作・販売!
July 9 2017

<学生起業家インタビュー>3Dプリンターで義肢の製作・販売!

 

ドイツもすっかり夏になってきました!それでもキールは湿気がないので過ごしやすいです。海も近いのでぜひ遊びに来てください:)

 

今日もドイツからSustainableな活動を紹介します!いい活動が世界中に広まりますように。

 

過去のインタビュー記事はこちらから:

ベルリン難民支援プロジェクト映像紹介!~難民の子ども達に音楽教育を~

<インタビュー> ドイツの地産地消マーケット Food Assemblyがスゴかった!

<インタビュー> ドイツ難民支援プロジェクト:Schick & Gut

 

 

ドイツ語が読める方はこちらでもエコプロジェクトを紹介しています☆ FUNKENZEIT: funkenzeit.de/

 


 

今回はドイツのアーヘンで3Dプリンターで義肢の製作・販売をする学生起業家グループAMaProをインタビューしました。

 

世界では戦争や事故、病気等、様々な理由で手足を失った人が数百万人いると言われています。それにもかかわらず、地球の南半球で生活をする人々のおよそ80%は経済的な理由やアクセスの問題から義手・義足を手に入れることができないと言われています。

AMaProでは10人の学生が3Dプリンターを用いて義肢を製造・販売することに挑戦しています。従来の義手・義足は販売価格が5,000-40,000ユーロ(約60-400万円)だったのに対して、3Dプリンターで製造されるAMaProの義肢はたった150ユーロ(約20,000円)しかかかりません。これはこれまで健康保険制度が整っていない発展途上国等で義肢が手に入れられなかった人々の未来を大きく変え得る可能性があると近年注目を集めています。

『最新のテクノロジーを駆使して発展途上国の支援がしたいんです。』

AMaProの名前の由来は„Additive Manufactured Prosthesis”。チームは「義肢の技術開発」と「マーケティング」の2つのチームから構成されています。化学を専攻する現役の大学生である一方でAMaProを設立し現在はプロジェクトリーダーも務めているKerim Abbasが義肢の技術開発に専念し、セカンドリーダーであるTim Karwischは市場調査と新しい顧客の獲得を行っています。

『私たちは人々が自立する支えになれればと思っています。』

AMaProのような学生の起業プロジェクトが社会的課題の改善に貢献すること、それは*Enactus Aachenの目標でもあります。

AMaProの主要な取引先はドイツ国内だけでなく、発展途上国にも広がっています。モロッコのカサブランカのAbdelouahedはパートナーの一人です。

『Abbeyは僕らにとって最初の起業家パートナーなんだ。』とTimはまるで古くからの友達のことを話すように言います。

『彼はカサブランカで医療機器の販売をしていてAMaProの製品も扱っているんだよ。』

Abbeyのような現地のパートナーは、販売ルートとしてだけでなく、義肢の製作・販売に必要な現地の情報を伝えてくれるために非常に大切な仲間なのです。各都市の病院や3Dプリンターの製作を行うグループもAMaProの重要なパートナーです。

『義肢の価格には材料費の他に、現地パートナーの利益、3Dプリンターの使用料や輸送費が含まれているんだよ。』とTimは説明します。

また、AMaProは地域でもプロジェクトパートナーを見つける等ネットワークを広げており、自分たちの街で製造したものがそのまま地域の人に渡る仕組みを作っています。

『AMaProの目的の一つは、僕らのように学生の起業プロジェクトでも義肢の製作販売ができることを知ってもらうことです。』

 

*Enactus:アメリカでスタートした社会的課題を解決する学生起業家を支援する団体。日本支部もある。(最後にリンクを掲載しています:) )

 

『義肢製作を通じて人々のQuality of Life(生活の質)が向上する支えになりたいんだ。』

『義肢を3Dプリンターで製作するのは決して難しくないんだよ。クライエントの腕の状態を診断して、まだ機能する手や腕から切断面までの長さを測ってコンピューターにデータを入力するんだ。データは3Dプリンターに送られ、樹脂で義肢が成形されるんだよ。肌との接着面には人体との不和が生じないように特殊なゴムを使うんだ。手や腕の部分との接着にはマジックテープを使っているよ。義肢の中でも、外見だけ本物のように見える形だけのものと、まるで本物の手のように使用できるものと2つがあるんだ。AMaProのものは本物の手のように機能するもの。ただし、電子機器は使っていないんだ。その方が長持ちするし、メンテナンスも簡単、そして何より価格が押さえられるからね。』

 

『世界を”ほんの少し”変えてやりたいと思ってるんだ。』

義手なくして日常生活を送ることは、身体的な制限があるだけでなく精神的な負担にもなります。Tim Karwischと彼のチームは長期的に人々の生活の質を向上させる支援をするとともに、積極的にパートナー起業家と仕事をすることで新しい雇用の創出にも貢献しています。現在AMaProは3D義肢製作の専門チームとして各国に展開していくことを将来のヴィジョンとして描いています。

『AMaProの義肢で多くの人が再び日常生活を送れるようになり、一つの悩みを取り除けるようになってほしいと願っているよ。』Tim Karwischは力強く言います。

 

 


あとがき

 

AMaProのように学生ながらに起業するということはもはや難しくなくなってきています。それは、『起業』にかかるコストが一昔前と比べてはるかに小さくなっているからです。また、『自分の仕事で社会的問題を改善していく』という夢のような生き方も現代では決して不可能ではなくなりつつあります。社会的にもその流れを後押しする環境が整いつつあります。クラウドファウンディングだけでなくドイツでは行政もいわゆる”ソーシャルグッド”な活動に積極的に補助金を出し始めています。何か自分が気にかかっている問題があれば、それに向けて自由にアイデアを出して実践してみてはどうでしょう?これまでのあなたの経験は世界で唯一あなただけのオリジナルのもの。きっと他の人が気がつきもしなかったような貴重なアイデアが詰まっているはず。そして、その行動は周りの人を巻き込んで、世界をきっと良い方向へ導くはず。

 

Akihiro Yasui

 

関連記事:

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AMaPro: http://aachen.enactus.de/blog/projekte/amaprosthesis/
Enactus: http://enactus.org/
Enactus Aachen: http://aachen.enactus.de/
Enactus Japan: https://www.facebook.com/EnactusJapan/

 

AMaPro:

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