3つ星シェフの「廃棄食品コース」が絶品だった!
9月に2週間ほぼ廃棄食品のみで生活していたAkiです!前回のブログで紹介したベルリン初の「廃棄食品のみを売るストア」をオープンしたSirPlus。そのSirPlusのイベントのひとつで「3つ星シェフが振る舞う廃棄食品コース」というイベントに参加してきました。
ベルリンにできた「廃棄される食品だけを売るスーパー」SirPlusの倉庫からレポート!白い箱は全て豆乳、青い箱はオーガニックシリアルバー、りんごは全てオーガニック。全てSirPlusが書い取らなければすでに廃棄されてたもの。ドイツでも日本でも、身近にできるから始めませんか? pic.twitter.com/5y8746KYd8
— Aki Youtuber@Germany (@akihiroyasui_) 2017年9月10日
廃棄食品だけの”豪華な”朝食。ベルリンに新しくできた「廃棄食品されるだけのものを売るスーパー」SirPlusで通常の半額で買ったものです。まだまだ全然おいしく食べられます。日本でもフードシェアリングに参加する人が増えて、こういうお店が始まってほしい。 pic.twitter.com/MLGCKJf7DI
— Aki Youtuber@Germany (@akihiroyasui_) 2017年9月10日
ベルリンの「廃棄食品しか料理しないレストラン」について書きました!法律の違う日本でも実現不可能な取り組みではないはず。日本で「廃棄食品レストラン」を始める方がいたら全力でサポートします!日本でも食品廃棄を本気でなんとかしませんか?https://t.co/Fz8n6xuOy2 pic.twitter.com/VAD0fbK3oG
— Aki Youtuber@Germany (@akihiroyasui_) 2017年9月19日
このイベントにはSirPlusの活動を日頃から支援している人々や、ストアオープンへのクラウドファウンディングに協力した人たちが招待されていました。今回僕はベルリン在住フォトグラファーのりょうた(www.facebook.com/ryotavideocreator/)とともイベントの映像・写真の撮影を行いました。SirPlusにとってはこれまでの活動報告とストアオープンの記念、支援者に日頃の感謝を伝えるイベントでもあったようです。
僕は料理もしますし、グルメで舌が肥えている方だと思いますが、このコースはどれも廃棄される食品で調理されたとは思えないくらい信じられないくらいに美味しかったです!「廃棄食品を料理したのは初めてだった!」という3つ星シェフのコメントとともに紹介したいと思います!
|3つ星シェフによる「廃棄食品コース」イベント
イベントが開催されたのはSirPlusの開店を翌日に控えた9月7日(木)でした。僕らは店舗で最終設営の収録を終え、ベルリンSchöneberg地区にあるイベント会場のEUREF-Campusへ向かいました。
会場は一般企業が合同カンファレンスを行うようなスタートアップによる「廃棄食品のイベント」とは思えない非常にフォーマルな雰囲気。会場の運営スタッフも「この会場を若いスタートアップが利用するのはおそらくSirPlusが初めてだ。」と話すような会場でした。
|「人々が持つ廃棄食品のイメージを覆すんだ。」
開店を翌日に控えた店舗の設営から在庫場での打ち合わせまで、これまでSirPlusの創業者の3人と密に接してきた僕には、わざわざスタートアップ “らしくない”、richでフォーマルなこの会場を選んだ理由がなんとなくわかったような気がしました。もちろん、プロジェクトに関わる全ての人への最大限のリスペクトを忘れない3人の人柄もあっての会場選択だと思います。
〔SirPlus開店前日の様子〕
〔会場で講演をするSirPlus創業者のRaphael Fellmer〕
|3つ星シェフが語る「廃棄食品を扱う難しさ」
「捨てられてしまう食材を調理して、食べてもらう」とは聞こえがいいですが、それは食材を扱うプロである3つ星シェフと言えども簡単ではなかったと言います。
「2日前に捨てられるはずのお肉の状態を見たときに、その場で全て判断して見極めなければいけなかったんだ。『このお肉をこれから保管・調理して、2日後にお肉はどんな状態で、どんな味のものを皆さんに提供できるか?』ってね。」
「廃棄食品の中でも、特にお肉の取り扱いが難しいことはわかっていたさ。けど、自信はあったし、だからこそやりがいがあると思ったね。」
〔牛肉を使ったメインディッシュ。廃棄食品だと疑いながら食べても、臭みは全く感じられなかった。肉汁も損なうことなく焼かれたお肉はとても柔らかくジューシーで、一流レストランで食べる料理よりもさらにワンランク上くらいの一級品の味がした。〕
『「廃棄食品」を扱うには、常にクリエイティヴである必要があるのさ。食材は全て手元に集めて見るまで何が集まるかわからないし、どの野菜も(普段僕らがよく知っている野菜とは)熟している状態が違うからね。どのように調理して、他の何と合わせたら味も見栄えも良くなるのか。とてもクリエイティヴである必要があるよ。」
端正に調理されたコース料理の一品一品からは、廃棄食品を「ただ再利用すればいい」というのではなく、一つ一つの食材に精一杯のリスペクトを払って「また食べ物としての命が吹き込まれている」感じがしました。それはこれまでどの国のどんな料理からも感じたことがない、調理に関わった全ての人と、「この世から捨て去られる間際に再び命を吹き込まれた」食材自身の熱い魂が感じられました。
〔カブとカリフラワーのピクルスと、ファラフェルのような揚げ物の前菜〕
〔数種類のベリーを合わせたアイスクリームのデザート〕
〔SirPlusの3人の創業者と廃棄食品について語るシェフ〕
|「廃棄食品」の持つイメージ
「廃棄食品」と聞くと、みなさんはどんなイメージを持ちますか?
青いポリバケツに無残に投げ捨てられ「ゴミ」となり、他のものと混じってもはや原型を留めていないものをイメージする人が多いのではないでしょうか。
全ての「食材」は、青いポリバケツに無残に捨てられた瞬間に「食材」から「ゴミ」になります。ということは、賞味期限が切れたとしても食べられるものはまだ魂のある「食材」であり、そこから救ってもう一度命を吹き込む方法は無限にあります。
|「廃棄食品」問題へ不可欠なクリエイティヴィティ(創造力)と想像力
3つ星シェフの言葉を借りると、「廃棄食品」に対しては既存の形にとらわれずに、全ての人がクリエイティヴィティ(創造力)と想像力を働かせる必要があると思います。
どのようにしたら廃棄食品を、
・出さないビジネスモデルを建てられるか。
・(ポリバケツに捨てられる前に、)救うことができるか。
・廃棄食品を救うフードシェアリングなどの活動が自分の住んでいる地域にないか。
・自分が救った食材をどのようにリスペクトし、再び命を吹き込んであげられるか。
・彩る・魅せる・輝かせる
何でもかんでもすぐ堆肥化にして「廃棄食品をリサイクルしてます!」とエコをアピールするより、食材のままリユースしてあげた方が食材へのリスペクトがあって、しかも環境負荷もかからないなとか。
廃棄食品をなんとか減らしたいけど、自分に何ができるかわからないから、友達に話してみようとか。
自分が教える学校の子どもたちにも知ってほしいから、授業外のテーマだけど扱ってみようとか。
廃棄食品をたくさん写真に撮ってインスタにアップし続けたら、結構イケてるんじゃないか?とか。
今日こうしている間にもどれだけの食品が無残にポリバケツに捨てられているのか、考えてみたり。
「廃棄食品」は、それを生み出している企業、社会、ひいては人間一人一人の恥部なので、なるべく目の見えないように、「やっかいなもの」として話題にものぼらないようにされてきました。でも、だからこそ、まだまだ誰にも試されていない方法が無数に広がっているし、そのアイデアを見つけるためには想像力を働かせてクリエイティヴである必要があると思います。
〔ベルリンのフードシェアリングで救助された野菜と果物〕
〔SirPlusの在庫場より。廃棄処分される予定だったオーガニックシリアルバーと有機豆乳の山。〕
〔SirPlusのストアでは若いインターン生によるアイデアも積極的に取り入れられている。〕
〔お客さんはいつも賞味期限に興味津々。「廃棄食品」というこれまで未知だったものを試してみようと、お店にはいつも何だか楽しげな雰囲気があります。〕
この「廃棄食品を使ったコース」のイベントは一度きりでしたが、僕のように「ベルリンに来たら必ず廃棄食品コースを食べたいぜ!」というコアな廃棄食品ファンの人は (いますよね?笑)、下記のRostlos Glücklichというレストランで食べることができます。(金・土の17時~のみ営業・要予約)
過去ブログ:ベルリンの「廃棄食品レストラン」に行ってみた!
廃棄食品が少しでも減る世の中になるよう、これからも自分のできることをやっていきます。
Akihiro Yasui
写真提供:阿部亮太 (www.facebook.com/ryotavideocreator/)