Akihiro Yasui
Profit / Planet / People の調和の取れた世界へ。
  • Home
  • About
  • Circular Initiatives&Partners
  • Earthackers
「世界一予約の取れないレストラン」から1食125円で作る「学校給食」へ転身したシェフの話

「世界一予約の取れないレストラン」から1食125円で作る「学校給食」へ転身したシェフの話

サッカー選手であれば、誰でも一度はワールドカップで優勝をしたり、世界一のクラブで教えたりすることを夢にみると思います。

 

それでは料理の世界ではどうでしょう?

 

僕は料理の道に生きているわけではないのですが、料理人でしたらやはり誰しも一度は世界一有名なレストランで働き、世界各国からの来賓の方々におもてなしをするという夢を見るものなのでしょうか?

 

今日紹介するのはそんな世界一といっても過言ではないデンマークのレストランnomaの元ヘッドシェフ、ダニエル・ジュスティさんのお話です。

 

この記事を書こうと思った元の映像です。

世界一のシェフの幼少時代のきっかけ

ダニエル・ジュスティさんは2010年から2012年まで世界一のレストランに輝いていたデンマーク・コペンハーゲンのレストラン「noma(ノーマ)」で、ヘッドシェフを勤めていました。

イタリア系アメリカンの家庭に生まれ育ったダニエルさんが料理に興味を持ったのは、家族にいつも美味しい料理を作ってくれた叔母の影響があるからだそうです。

ダニエルさんの叔母さんはケータリングも行なっており、彼女が作る料理からはいつも「幸せな気持ち」が感じられたそうです。その幼少の体験がきっかけでダニエルさんは「自分も叔母さんのように料理を通じて、『幸福感』や『暖かい温もり』をたくさんの人に届けたい」と思い料理人の道を進み始めました。

「世界一のレストラン」から「学校給食の調理」への転身

ダニエル・ジュスティさんは以前から、学校給食で子ども達が食べているものがあまり健康的でないことに関心を持っていました。

学校給食の予算は自身が働いていたレストランのnomaのようにたくさんある訳ではなくとも、電子レンジで温めるだけのレトルト食品ばかりを提供する学校給食は改善の余地があると思っていたのです。

そこで、nomaを退いたダニエルさんは学校給食の改善をミッションとする新しい事業「Brigai(ブリゲイト)」を立ち上げます。Brigaiは従来の学校給食と全く同じ予算、時間、調理室、器具を使い、レトルトではない、新鮮な食材を使った食事を提供することに挑戦しているのです。

 

1食125円の学校給食の予算での挑戦

ダニエルさんが子ども達に学校給食を提供しているアメリカの公立学校ではNational Lunch Program(公的給食制度)によって給食一食あたりの予算が決められています。

その金額は一食あたり約350円です。

 

その350円には食事の材料費だけでなく、人件費や調理器具のメンテナンス費用も含まれているため、純粋に食材調達にかけられる予算は一食あたり約125円だとダニエルさんは言います。


ダニエルさん:「経験豊富なシェフが全ての学校で給食を提供するなんていい話だろ?でも、全部その予算一食あたり約350円の中でやりくりしなきゃいけないんだ。大きなチャレンジだけれど、なんとかinnovativeにやっていこうとしてるところさ。」

 

それでも、ダニエルさん達Brigaiのメンバーは子ども達に真心を込めた料理を提供し、これまで学校給食では提供されていなかった食材の調理も始めています。

 

ダニエルさんと一緒に働く別のシェフのテイラーさんは言います。

「学校で子ども達のためにいい食事を作って目の前で食べてもらえるなんて、想像していたよりもずっとやりがいのある仕事だよ。」

 

子ども達からも、

 

「毎日色々な食材が食べられるのは楽しいし、とってもおいしいんだよ!」

 

と評判のようです。

 

ダニエルさん:「僕らが今やっていることで、『学校給食にもこんな方法がある』っていうことを知ってもらえたら最高だね。たくさんの人にそう感じてもらえたら学校給食は変わると思うし、限られた予算の中でもこうしてレトルト食品でなく新鮮な食材を子ども達にもちゃんと調理して提供することが新しいスタンダードになってほしいと思うよ。」

 

 

あとがき

 

「子ども達によりよいものを食べてもらおう」と有名なシェフたちが取り組み始めているのは、最近の世界のトレンドだと思います。

 

イギリスのジェイミー・オリバーさんも「ファーストフード」がどういうものかや、限られた時間と予算で調理をすることを教えるワークショップを開催しています。

 

 

 

世界一のレストランや著名なシェフのキャリアでも得られない学びややりがいが、学校給食にはあるのかもしれません。

 

安居昭博

 

(参照)

Brigai: https://www.chefsbrigaid.com

noma(ノーマ)

『「ノーマ」の元料理長ジュスティ氏、子供たちの食事のあり方を変えたいと考えている』

『ノーマ 世界一のレストランが日本へやってきた!』

『世界一のレストランノーマ おうちレシピ』

__________

 

 

 

 

安居が監修している「社会課題×ビジネス」のアイデアを紹介するウェブマガジンEarthackersはコミュニティメンバーを募集しています。

 

詳細はこちらから御参照ください。

 

安居昭博

 

Share this post: on Twitter on Facebook on Google+

Googleに代わる「検索する度に植樹できるエコな検索エンジン」Ecosia 世界初「エシカルファッションのミュージアム」がアムステルダムにオープン。インタビューと撮影に行きます!

Related Posts

「ストリート・ディベーター」”路上生活者が主役” の新しい職業

オランダ, ソーシャルグッド, ホームレス

「ストリート・ディベーター」”路上生活者が主役” の新しい職業

デンマーク発「700万食の廃棄される料理を救ったアプリ」共同創業者とインタビュー致しました。

イギリス, インタビュー, サーキュラーエコノミー, ソーシャルグッド, ブロックチェーン

デンマーク発「700万食の廃棄される料理を救ったアプリ」共同創業者とインタビュー致しました。

日本発「地方創生 × 都内マンションコミュニティ活性化」のご当地マルシェがオープン!

サーキュラーエコノミー, ソーシャルグッド, 日本

日本発「地方創生 × 都内マンションコミュニティ活性化」のご当地マルシェがオープン!

アムステルダム – パリ – ロンドンで取材するスタートアップを一挙公開!「社会的課題 × ビジネス」インタビュー撮影ツアー第2弾

オランダ, サーキュラーエコノミー, ソーシャルグッド

アムステルダム – パリ – ロンドンで取材するスタートアップを一挙公開!「社会的課題 × ビジネス」インタビュー撮影ツアー第2弾

世界初「エシカルファッションのミュージアム」がアムステルダムにオープン。インタビューと撮影に行きます!

オランダ, サーキュラーエコノミー, ソーシャルグッド

世界初「エシカルファッションのミュージアム」がアムステルダムにオープン。インタビューと撮影に行きます!

Googleに代わる「検索する度に植樹できるエコな検索エンジン」Ecosia

ソーシャルグッド, ドイツ, ドイツのエコ活動

Googleに代わる「検索する度に植樹できるエコな検索エンジン」Ecosia

© Akihiro Yasui 2021