黒川温泉一帯地域コンポストプロジェクト〜70〜72日目の記録
黒川温泉一帯地域コンポストプロジェクト〜微生物が発酵を始めてから70〜72日目の記録
「長年旅館街の悩みの種であった生ごみも完熟堆肥化することで、貴重な資源として地域の農家さんに使ってもらう仕組みができるのでは..?
“Farm to Table”だけでなく”Table to Farm”で、地域全体で農家さんを支える仕組み作りができるはず。」
という考えから、今年の夏に実験的に始めたプロジェクトですが、ここまで信じられないくらい順調に進んできています。。
詳細記事です。
前例のない取り組みなので、まずは30ある旅館のうち8つの旅館から出てしまう生ごみの堆肥化を進めているところです。
9月25日に堆肥の元となる床材が仕込まれてから2ヶ月と10日ほどが経ちました。微生物たちの働きによってもう2ヶ月にも渡って60度以上で発酵を続けてくれており、このまま順調に活動を続けてくれたら来年2月には完熟堆肥が完成する予定です 😉
今回はYAMAP代表の春山さんにも参加していただき、色々なアドバイスをいただきました。
投入した生ごみはもう跡形もなく分解されており、サザエの殻などの大物もあと少しで分解されそうです。
堆肥作りには一次処理と二次処理の工程があります。
一次処理は水分量と養分量を調節してあげる工程。
二次処理は落ち葉に生息する微生物の発酵燃焼を通じて大腸菌などを死滅させる工程。
この2つの工程を順調に経ると、およそ4ヶ月間で完熟堆肥が出来上がります。
今回使用した資材は生ごみの他に落ち葉、もみがら、鶏フン、赤土と、どれも地域にあるものだけでできるのもこの技術の特徴。
誰かの処分に困っているものが、別の誰かの宝になる。
それが今回監修を務めている鴨志田くんが持っている完熟堆肥の技術であり、サーキュラーエコノミーの本質的な考え方の一つだと思います。
完熟堆肥にも色々な種類があり、僕らが今仕込んでいる生ごみ堆肥の他には、もみがら堆肥、土ボカシ、そして「堆肥の王様」とも呼ばれる落ち葉堆肥などがあります。
黒川温泉一帯地域では、2月に生ごみ堆肥が完成した後にはバーグ堆肥、土ボカシ、落ち葉堆肥と混ぜ合わせて「培養土」として周辺の農家さんに使っていただく予定です。
農業には「苗半作」という言葉があるそうです。
「苗ができた時点で野菜づくりの半分は終わっている。苗づくりはそれだけ重要なんだ。」という意味です。
培養土は肥料のように畑に撒かれるのでなく、苗づくりに使われる重要な資材です。
今地域のみんなの手で仕込んでいる生ごみ由来の完熟堆肥はその大切な培養土の一部として活用される予定です。
「生ごみで良い堆肥や培養土ができるものなのか?」
と思われる方もいるかもしれませんが、そこはプロのコンポストアドバイザーの鴨志田くんのアドバイスを全員が信頼して進めています。
生ごみは有効な窒素資材でありもみがらに代表される炭素資材、ミネラル資材として調達した赤土、微生物資材としての落ち葉と適切な量を混ぜ合わせ、科学的観点を取り入れて設計されています。
みんなただただ頭に浮かんでいる「餅の絵」を本当のお餅にできると思って、ワクワクしながら進めている印象です。
実際に鴨志田くんが野菜を作る際には自分で仕込んだ堆肥のみを使用して、ミシュランの星を取るようなシェフ達が認める一流のレストランに野菜を提供していることも説得力が増している要因にあると思います。
まだまだ課題(というよりも、この先進めてみなければわからないこと)もたくさんあるのですが、オランダから学んだ「learning by doing(やりながら、学んでいく)」の精神で地域全体で進めていきたいと思います。
主体は微生物と黒川温泉一帯地域の方々。
僕と鴨志田くんは今はお刺身のツマのような役割で、将来的には自分たちがいなくなっても地域の方々だけで回せる仕組み作りを進めています。
アメリカのバーモント州は今年の7月から既に生ごみを捨てることが法律で禁止され、州全体でコンポスト化が進められています。
黒川で進めているこの仕組みは日本の他の地域の先進的モデルになるだけでなく、世界からも注目を集める可能性が充分にあるなとひしひしと感じています。
長期的なビジョンは大きく持ちながら、目の前のことは一つずつ丁寧に進めていく。
早く進めたい気持ちはあるけど、主役の微生物くん達がそれを許してくれないので。。笑
あわてずあわてず、ゆっくりと急ごう。
まずは2021年2月まで温かく見守ってやってください。
何か良い報告ができるはず!😉
(12月12日、こんな形で32歳に突入しました..!)