「黒川温泉一帯地域コンポストプロジェクト」映像が、サステナアワード2020にて「環境省環境経済課長賞」を受賞
農林水産省・消費者庁・環境省主宰「サステナアワード2020」にて「環境省環境経済課長賞」を受賞致しました!僕たちが進めているプロジェクトにまさにピタリな賞をいただけたと感じます。
「黒川温泉一帯地域コンポストプロジェクト」受賞作品:
本賞は、”日本の食や農林水産業に関する持続可能な取り組みを国内外に発信することを目的” とした映像のアワードで、今回僕は『黒川温泉一帯地域コンポストプロジェクト』の映像を制作させていただきました。
今週月曜日にオンラインで表彰式が開催されまして、環境省の西村治彦環境経済課長からは以下のような旨の温かいコメントを寄せていただきました。
“旅館から出てしまう生ごみをコンポストで堆肥にし、その堆肥を農家さんに使っていただく。農家さんが育てた農産物を今度は旅館で使っていただく、という循環の様子が非常に良くわかる映像でした。
このような取り組みは今グローバルで話題になっているサーキュラーエコノミーや、環境省が進めている「地域循環共生圏」のまさに好例だと思っております。
この取り組みを通じて旅館、行政、農家の皆さまといった地域の人々の結びつきや観光振興にも繋がっていると見受けられました。
今後もこのような取り組みを通じて、黒川温泉一帯地域の皆さまが発展していっていかれることを祈っております。“
黒川温泉一帯地域では昨年の9月から旅館街から出てしまう食品残渣を完熟堆肥にするコンポストプロジェクトが始められています。完熟堆肥は地域の農家さんに供給され、生産者さんが栽培した新鮮な野菜は旅館で調理・提供されるという”循環”の仕組みづくりを進めています。
黒川温泉は古来筑後川の源泉や小国杉が繁る里山、「湯あかり」にも活用される竹林などの美しい自然を有した地域です。古くから「黒川は里山の温泉地として、地熱や水・草原・森林など自然から多くの恵みをいただくことで成り立っている」という意識が地元の人々の間で共有され、環境への真摯な取り組みが観光業を中心とする経済を成り立たせる上で欠かせないという考えが引き継がれてきました。また、元々自然環境に境目があったわけではないのだから、行政区分を超えてみんなで協力しようといった「競争」よりも「共創」を重んじる習慣が見られることもこの地域の特徴のように感じます。
映像で紹介されている昨年の9月末に行われた床材づくり(地域の米ぬか、もみがら、落ち葉、壁土の未活用資源を使用)以降は、10月に床材と食品残渣の混ぜ合わせ・切り返し作業を行う「一次処理」、11月にはさらに米ぬかと壁土を混ぜ、最低1ヶ月間以上微生物の燃焼作用を活用し温度60度以上で発酵させる「二次処理」の作業を実践しました。
微生物の働きによって11月末には未熟堆肥から中熟堆肥の段階に移り、1月末には最初の完熟堆肥が出来上がりました。容積では約2000Lあります。今週末には地域の方々と一緒に出来上がった完熟堆肥から苗づくりに使用される「培養土」をつくり、いよいよ農家さんに提供をして野菜づくりに使ってもらえる予定です。初夏頃にはでき上がった野菜を収穫して旅館への提供や試食会の開催が実施できる見込みです。
先日の表彰式では受賞作品の一部を観させていただきました。どれも愛が伝わってくる作品ばかりで、日本全国にはこんなにも地域や生産者さん、農業界全体を真摯に考え尽くした取り組みがあるのかと、たくさんの学びをいただきました。
僕は日本が好きです。世界的に見ても日本にしかない、本当に貴重で価値のあるものがたくさん存在していると思いますし、今日こうしている間にもあちこちで生まれ進化しているのだと思います。
そういった取り組みの一つ一つに、今都市部や世界で抱えられている課題を改善する手がかりがあるように感じます。
黒川温泉一帯地域では「サーキュラーエコノミー」という言葉が使われ始められる遥か以前から、黒川の方々は自分たちの地域を真摯に見つめる中でそうした考えに辿り着き、本質的な取り組みが進められてきました。
生ごみを完熟堆肥にする資源循環の取り組みも、巡り巡って誰もが思わず足を運びたくなるような街づくりに繋がると感じています。
まずは黒川温泉一帯で”中循環”をつくり、そこでの学びを町全体の”大循環”や、家庭単位の”小循環”につなげていけたらと考えています。
本来廃棄されてしまう資源をむしろ積極的に活用することで、三方良しの関係を作り「3つのP(Profit, Planet, People)」をより向上させる。
まだまだ取り組みは始まったばかり。引き続き黒川温泉一帯地域で一つずつ丁寧に仕組みづくりを進めていきたいと考えています。
「サステナアワード2020伝えたい日本の”サステナブル”」受賞者一覧
PRTIMES:『黒川温泉の堆肥事業「黒川温泉一帯地域コンポストプロジェクト」動画が、サステナアワード2020にて、”環境省環境経済課長賞”を受賞』
「堆肥作りは、料理作り。公共コンポストで地域を“発酵”させるサーキュラーエコノミー」